CASES
AI活用で「529時間/半年」の工数削減。UPSIDERがHERP Hire APIで実現した採用オペレーションのAI化

株式会社UPSIDER
株式会社UPSIDER Recruiting Enablement チーム
麻生 裕貴 様
業種:
金融・保険・不動産ICT
従業員数:
100~299名
「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」をミッションに掲げ、法人カード『UPSIDER』や請求書カード払いサービス『支払い.com』などを展開。
導入の目的
AIを活用した採用オペレーション再設計のための基盤づくり
課題
組織の急拡大に伴う、採用業務の増加
HR・Ops・現場をまたぐ情報共有の“伝言ゲーム化”
リマインドやステータス更新などの手作業による負荷
導入の決め手
Slackやスプレッドシートなど既存ツールとの連携
自社オペレーションに合わせた内製カスタマイズが可能
高いセキュリティ水準を維持しながら外部連携ができる基盤効果
半年間で計529時間の採用オペレーション工数を削減
Slackを中心にした運用により、面接官の負荷を軽減
情報共有の速度と質が向上し、採用判断に集中できる環境を実現

採用規模が拡大するほど、採用に関わるステークホルダーも増え、情報連携や採用オペレーションの負荷は増していくものです。その結果、採用数を増やしながら選考の「質」を担保する難易度は高まり、人事や現場のどこかに負荷が集中する状況が生まれやすくなります。
そこで今回は、HERPが提供する『HERP Hire API(採用管理システムHERP Hireの一部の操作やデータ取得をAPI経由で行うことができる機能)』を活用し、AIによる採用オペレーションの改善を進めるUPSIDERの事例をご紹介します。
同社では、『HERP Hire API』を活用してAIと連携し、採用オペレーションの自動化・採用状況のリアルタイム可視化・面接官の負荷軽減など、採用プロセス全体の質と効率の向上を実現。
今回は、UPSIDERがどのような思想で採用オペレーションを設計し、『HERP Hire API』を活用して採用プロセスを最適化しているのか。その背景や具体的な取り組みについて、Recruiting Enablementを担う麻生裕貴氏にお話を伺いました。
──株式会社UPSIDERについて教えてください。
麻生:UPSIDERは「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」をミッションに掲げ、成長企業向けに法人カード『UPSIDER』や請求書カード払いサービス『支払い.com』などを展開するFinTech企業です。累計導入社数は10万社を超え、企業の成長を支える金融インフラへと領域を拡大してきました。
2025年にはみずほフィナンシャルグループへ参画し、スタートアップのスピード感とメガバンクの巨大なアセットを掛け合わせた「第2創業期」とも言えるフェーズにあります。ミッション実現のスピードをさらに上げるため、事業・採用ともに全方位で加速させているところです。
採用規模拡大で直面した「伝言ゲーム」の壁
── UPSIDERでは現在、非常に速いスピードで組織拡大が進んでいるそうですね。
麻生:現在は全ポジションでアクセルを踏み、採用を進めています。直近では、みずほフィナンシャルグループへの参画などもあり、より難易度の高いプロジェクトを推進できる人材や、組織を横断して仕組みをつくれる人材の必要性が高まってきました。こうした“質の高い採用”を、スピードを落とさず実現することを目指しています。

──採用チームの体制についても教えてください。
麻生:現在は2名のリクルーターと、私が担当するRecruiting Enablementチームで、各部門のハイヤリングマネージャーと共に採用を推進しています。
私はもともとセールス部門でマネージャーを務めており、1年弱前まではセールスチームの強化をミッションに、セールスイネーブルメントやオペレーション構築、採用・育成まで幅広く担当していました。当社には「事業にとって最も重要な領域に人を集中的にアサインする」という方針があり、事業成長に伴い、特にグロース部門の採用が非常に重要なテーマになっていました。
セールス組織ではオンボーディングや育成の課題もあり、マネージャーとしてイネーブルメントに取り組むなかで、「強い組織をつくるには入口である採用が重要だ」と感じるようになりました。そこでマネージャー業務と並行して採用に関わり始め、その後本格的に採用にコミットするようになりました。
現在は、採用のAI化やオペレーションの効率化を進めるため、HR内にRecruiting Enablementチームを立ち上げ、採用の仕組みづくりを推進しています。Recruiting Enablementは、AIを活用した採用オペレーションの仕組みを設計し、できるだけ少ない人数で採用成果を最大化することをミッションとしたチームです。私とOpsメンバー1名、エンジニア1名の体制で、私はビジネス職の採用責任も担いながら、オペレーション設計やAI活用の推進を担当しています。
──採用規模の急拡大にあたり、どのような課題を感じていましたか。
麻生:一番大きかったのは、情報伝達の「質」と「スピード」です。採用を拡大すると、HR、Ops、各部門のマネージャーなど、関わる人数が増えていきますが、その分情報の受け渡しが増え「伝言ゲーム」のような状態が起きやすくなります。
最初は100%だった情報も、人が介在するたびに80%、60%…と少しずつ薄まっていく。結果として、採用判断に必要な情報が十分に共有されなかったり、意思決定までのリードタイムが伸びたりといった問題が起こりやすくなります。そこでAIを活用し、情報連携の「質」と「スピード」を限りなく100%の状態を担保できる仕組みをつくりたいと考えました。

── 情報伝達の「質」と「スピード」それを担保するためにHERP Hire APIが必要だったと。
麻生:そうですね。AIの力を最大限発揮した採用オペレーションをつくるためには、まず採用データを柔軟に扱えることが前提になります。候補者情報や選考ステータスなど、採用に関するデータが集約されているHERP Hireの情報をAPIで連携できなければ、AIも十分に活かせません。
例えば、人が申し送りで情報を伝える場合、候補者の詳細情報やステータス、どのエージェントからの推薦などといった細かな情報はどうしても要約され、最低限の内容になってしまいます。一方で、その情報の質を人手で担保しようとすると、情報整理や入力といった作業が増え、今度は「スピード」が落ちてしまう。このトレードオフが課題でした。
『HERP Hire API』を使えば、HERP Hireにある情報を必要な形に構造化して、必要な人にスピーディに正確に伝えることができます。採用成果を最大化するためには、候補者に関する情報量と意思決定のスピード、その両方が重要ですが、人手だけで維持するには限界があります。AIとAPIを組み合わせることで、その両方を高い水準で保てると考えました。
もちろん人的に解決する方法もありますが、面接官の負荷を減らそうとすると、今度はOpsが申し送りや議事録の整理を担うなど、結局どこかに負荷が集中してしまいます。AI時代においては、定型的な整理や入力作業はAIに任せ、人間は「本質的な対話」と「意思決定」に集中する。それが理想的な採用チームのあり方だと思っています。
情報の質とスピードを両立する、採用オペレーションの再設計
──『HERP Hire API』とAIで、どのような仕組みを構築されたのでしょうか。
麻生:行ったこととしては大きく3つあります。
①オペレーションの自動化、②リアルタイムで現状把握できる可視化、③現場負荷を下げるSlack運用です。
まず1つ目は、定型的なオペレーション業務の自動化です。
採用業務では、応募情報の共有、面接日程の登録、各種管理ツールへの情報入力、書類選考の依頼、面接リマインド、評価回収、選考ステータスの更新など、多くの定型作業が発生します。こうした作業は採用規模が拡大し応募が増えるほどさらに負荷が大きくなっていきます。また、以前はOpsが応募通知を確認し、候補者情報を整理して現場に共有する形だったため、担当者によってスピードや精度にばらつきが出ることもありました。
そこで、こうした業務を『HERP Hire API』とAIで自動化していきました。
応募があれば関連する管理ツールにも自動で情報が連携され、面接日程が決まればHERP Hireへの日程登録やGoogleカレンダーへの反映まで自動で行われます。面接のリマインドや申し送りも自動化され、評価が投稿されるとHERP Hireの選考ステータスが更新されるだけでなく、候補者への連絡文面の下書きまで生成されます。このように自動化できる作業はできる限り仕組みに任せる形にしました。
──自動化に続いて、次に取り組んだことは何でしょうか。
麻生:採用状況をリアルタイムで把握できる仕組みづくりです。以前は各管理ツールへの情報入力を手作業で行っていましたが、現在はAPI経由でHERP Hireのデータを取得し、歩留まりや目標対比などのレポーティングが自動更新されるダッシュボードを構築しました。スプレッドシートのGASを毎時間実行する仕組みにしており、メール返信日や面接日程、選考終了日などの履歴が自動で蓄積されるようになっています。関数ではなくGASで処理しているため、GASが止まらない限りメンテナンスの手間がほとんどかからないのもポイントです。
さらにSlackへの自動投稿によって、HRだけでなく現場メンバーもリアルタイムで採用状況を把握できるようになりました。営業時代からヨミ管理やアクションのスピードを重視してきましたが、その考え方は採用でも同じで、今の状況がすぐ分かることが意思決定のスピードを大きく左右すると考えています。
Slackを”コマンダー”に、現場負荷を下げる運用へ
──なるほど。実務だけでなく意思決定のスピードも改善したのですね。
麻生:そうですね。そして3つ目が、Slackを“コマンダー”として現場の負荷を下げることです。
ハイヤリングマネージャーや面接官は日常業務の中でSlackを使っているので、HERP Hireにログインして情報を確認するのはどうしても負担になります。そこで、面接官は基本的にSlackだけを見ていれば採用対応が完結する仕組みを目指しました。
例えば、応募があった際には候補者情報がSlackに共有され、ハイヤリングマネージャーがその場で内容を確認します。書類選考後にSlack上で判定を行うと、その結果がHERP Hireの評価や選考ステータスに自動で反映される仕組みです。
また、面接の前日や当日には、面接に必要な情報(日程・ポジション・これまでの選考経緯・確認ポイント)がSlackで自動通知されます。そこにはHERP Hireの情報だけでなく、Google MeetのURLやNotionのリンクなど、自由にフォーマットも自社でカスタマイズできるのがHERP Hire APIを使って構築することのメリットだと思います。
評価や申し送りの生成、選考ステータスの更新処理など、採用に関する多くの操作がSlackを“コマンダー”のような位置づけで動くイメージですね。
半年間で529時間を削減。効率化の先に見えた採用の変化
──採用オペレーション全体をつなぎ込んだ仕組みを『HERP Hire API』で実現して、どのような効果を感じていますか。
麻生:まず分かりやすい変化として、採用オペレーションにかかる時間が大きく減りました。半年間で試算すると、合計で529時間ほどの業務削減につながっています。
ただ、個人的には単純な効率化以上に、候補者に関する情報量と質、そして意思決定のスピードが上がったことが大きいと感じています。
以前は、面接の評価や申し送り、進捗の共有などを人の手でつないでいたため、どうしても情報の抜けや遅れが発生しがちでした。現在は選考プロセスの情報が自動で集約され、必要な人にすぐ届くようになっているので、採用に関わるメンバー全員が、同じ情報をもとに判断できる状態になりました。
──現場の面接官やハイヤリングマネージャーからの反応はいかがですか。
麻生:現場からは「かなり楽になった」という喜びの声をよくもらいます。以前取得したアンケートでも、全メンバーが「工数が大幅に削減された」と回答してくれました。
面接官の立場からすると、HERP Hireを開いて候補者情報を確認したり、評価を入力したりする作業はどうしても手間になります。その点、今はSlack上で必要な情報を確認でき、そのまま評価まで完結できる。採用対応のハードルはかなり下がったと思います。
HRチームにとっても大きな変化があります。これまで時間を取られていた情報の手入力や集計の作業がほぼ不要になり、採用戦略を考えたり、ハイヤリングマネージャーと議論したりといった、本来注力すべき業務に時間を使えるようになりました。
採用はどうしてもオペレーションの作業量が多くなりがちですが、そこを仕組みで支えられるようになったことで、採用成果を最大化するための意思決定に集中できる環境が整ってきたと感じています。
採用オペレーションのAI化は「課題の言語化」と「再現性」
──今回の仕組みを構築するうえで、どのような点が重要だったと感じていますか。
麻生:やりたいことが明確であれば、構築自体もAIの力も借りながら進められるので、実装のハードルはそれほど高くありませんでした。
それよりも重要なのは、「何をどう改善したいのか」を明確にすることだと思います。
私はもともと1年前までセールスのマネージャーとして採用にも関わっていました。現場で採用オペレーションを実際に回してきた経験があったので、どこに非効率があるのか、どこを改善したいのかを具体的に言語化することができました。最初に「何を実現したいのか」を整理できたことで、仕組み化もスムーズに進めることができたと思います。
APIやAIはあくまで手段です。「APIを使えば何かできそう」という発想から入ると、なかなかうまくいきません。大事なのは知識やスキルよりも、どの業務が、なぜ、どのように非効率なのかを現場視点で言語化することです。
そのうえで「どの作業を自動化できるのか」「どこをAIに任せられるのか」を洗い出していくと、自然とAPIを使うべきポイントが見えてきます。

もう一つ重要だと考えているのが、オペレーションの再現性です。
誰か特定の人がいないと回らない仕組みでは意味がありません。例えば、私がいなくなった瞬間に今の採用の仕組みが崩れてしまうようでは、会社としては強くならない。
会社を強くするためには、誰がやっても同じ水準で回るオペレーションを作ることが大事だと思っています。HR部長がやっていることを、他のメンバーでも同じように再現できる。そうした状態を目指してオペレーションを設計しています。
──金融領域のサービスを提供する企業として、セキュリティ面での配慮も重要だったのではないでしょうか。
麻生: おっしゃる通りです。当社はみずほフィナンシャルグループに参画していることもあり、セキュリティ水準は非常に厳格です。
汎用的なツールを安易につなぐのではなく、『HERP Hire API』という公式の仕組みを使うことで、安全かつセキュアにデータを扱える基盤を整えることができました。これは社内のガバナンスをクリアする中でも大きなポイントでしたね。
──最後に、今後の採用やオペレーションの展望について教えてください。
麻生:UPSIDERの事業は今、大きな成長フェーズにあります。今後はそのスピードに合わせて、HRもAIを活用しながら採用をさらに加速させていきたいです。
組織が拡大していく中で、人手だけで情報の質と意思決定のスピードを維持するのは限界がある。だからこそ今後、AIやAPIを活用した採用オペレーションの設計はますます重要になっていくでしょう。
HERP Hireについても、採用データをより柔軟に扱えるようになったり、他のツールとの連携がさらに広がったりすれば、採用の可能性はもっと広がるはずです。採用の現場で生まれるデータを活かしながら、AIと組み合わせて採用をより加速させていける環境に期待しています。

HERP Hireに少しでも興味をお持ちになっていただけましたら、まずはお気軽に資料をダウンロードいただけますと幸いです。

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