Excel採用管理で役立つ!採用データ活用の基本パターン3選【歩留まり・KPI進捗可視化に】

採用管理システム(ATS)を導入する企業は増えてきていますが、まだ採用規模があまり大きくなくてコストをかけたくない企業ではExcelやスプレッドシートを使って採用管理をしているケースも多いと思います。
採用管理システムにはデータの可視化や分析の機能が標準で備わっていることも多いですが、Excelの場合はご自身で関数を組んだりデータを加工して可視化させる必要があります。
しかし、そもそも何を見える化すべきか、可視化した上でどのようにアクションに活かすべきか分からないという人も多いと思います。
そこで本記事では、Excelで採用管理している方向けに、採用データの基本的な活用方法を説明します。
本記事では具体的なシートの作り方や関数の組み方などには触れていませんが、代わりにHERPではExcelの採用管理テンプレートを無料で配布しておりますので、ぜひそちらを使って採用データ活用に取り組んでいただけると幸いです。
※本記事は、ebook「失敗しない採用データ活用のための基本パターン3選」として限定公開していた内容を、一部抜粋・刷新し、公開した内容です。
データ活用の必要性とデータ活用が難しい理由
具体的な活用方法に入る前に、なぜデータ活用が必要か?を改めて考えてみましょう。
データ活用が出来ていないとどうなる?
私たちは、採用のデータが十分に活用出来ていない状況は、以下のような問題に繋がると考えています。
- 改善の打ち手がK(経験)・K(勘)・D(度胸)に
- 新しい施策に着手するが、既存施策を減らぜず稼働がパンパンに
- 経営陣から「進捗どう?」「意味あったの?」に答えられない
これらに心当たりがあれば、気づかぬうちに非効率なやり方を行ってしまっているかもしれません。一方で、採用データ活用を通じて改善に取り組むチャンスがあるとも言えるでしょう。
データ活用のメリット
採用データの活用が出来るようになると、これらの問題の解決の糸口を掴むことが出来ます。
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- 改善の打ち手がK(経験)・K(勘)・D(度胸)に
⇒どこが上手くいっていないかわかるようになる
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- 新しい施策に着手するが、既存施策を減らぜず稼働がパンパンに
⇒確実にやめた方が良い施策/残した方が良い施策がわかるようになる
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- 経営陣から「進捗どう?」「意味あったの?」に答えられない
⇒数字というファクトベースで改善のための話が出来るようになる
このように、現状を正しく把握し、無駄を省き、効率的に改善を進める上で、データ活用は非常に有効です。
採用データ活用が難しい理由
しかしいざデータ活用を進めようとしても、難しいと感じる人が多いようです。それはなぜでしょうか。
その主な理由として「扱いたくなる変数が非常に多く、変わりやすいこと」が挙げられます。
上図に示したように、採用データの領域には変数が数多く存在し、可視化するデータの切り口を無数に生み出すことができます。そして重視すべき変数が頻繁に変わってしまうことも、データ活用を複雑化している要因の一つです。
出来るだけシンプルに考えよう
従って、採用データ活用の成功のためには、目的を絞り込み、扱う変数もシンプルに限定することが重要です。
「分析」の前に「見える化」を
また、「データ活用」には、複雑な「データ分析」が必要なのではないか、と考える人もいるかもしれません。
しかし、高度なデータ分析をいきなり始める必要はありません。まずはシンプルに「見える化」するだけでも、多くの気づきが得られるはずです。
ここからは、私たちが様々な企業の採用を支援する中で見出した、採用データ活用を成功に導く3つのパターンをご紹介します。
失敗しない採用データ活用のための基本パターン3選
①現実的な採用計画作りのための採用リードタイム活用
あなたは、自社の選考にかかる平均の「リードタイム」(応募日~入社日の日数)を言うことは出来るでしょうか?
実は採用リードタイムの把握は、採用データ活用の一番の基礎であり、採用計画およびその上流の事業計画の策定において重要となる要素です。
リードタイムを正確に把握できれば、事業計画に対しても採用の観点から現実的なフィードバック(例:「この短期間での〇人の採用は非現実的であるため、事業拡大を後ろ倒しで考えるべき」etc…)が出来るようになり、無茶な事業計画に基づいた採用活動に従事するリスクも減らせます。
リードタイム把握のために、「応募日」「面談実施日」「内定受諾日」「入社日」などの基準となる時期データを、下図のように必ず取得・記録しておきましょう。
「採用管理テンプレート」では上図に対応したExcelのテンプレートをご利用いただけます。
②関係者を巻き込む進捗のリアルタイム可視化
ご存じの通り、採用には関係者の巻き込みが非常に重要です。その際には現状や課題をリアルタイムに見える化し、ファクトに基づいたコミュニケーションが有効です。
ここで注意すべきは、巻き込みたい相手によって「関心ごと」と「必要なデータ」が異なる点です。下図では経営陣と現場(事業部)で異なる関心ごとと必要なデータをまとめています。
具体的にそれぞれに対する見える化の一例をご紹介します。
経営者に対する可視化
経営者に対しては、「実績」「ヨミ」のデータをもとに、見通しと採用コストの共有を明確にすることが重要です。
下図のイメージで、各職種毎の採用目標数・実績数・ヨミ数を可視化すると良いでしょう。
「採用管理テンプレート」では上図の経営者とのコミュニケーションに対応したExcelのテンプレートをご利用いただけます。
※採用コストに関するデータ項目は簡略化のため省略しています
現場に対する可視化
現場とは、「応募数」「面談数」のデータに基づくKPIと採用に必要なリソースの可視化が有効です。
③ボトルネックを特定する採用ファネルの基本モデル
採用データ活用の1番のメリットは、ボトルネックの特定が容易になることです。
下図は採用選考フローをフェーズ毎に因数分解をした、ボトルネック可視化のための基本モデルです。
このモデルに基づき、スプレッドシートや採用管理システムでデータを可視化することで、全体感を見失わずにボトルネックの特定が容易になります。
以下に具体例を示します。
表で可視化する際は、まずは求人別の全体像を可視化
求人ごとの応募数や選考数、内定数を算出し、各通過率を可視化しています。
次に職種内での経路を可視化
同じことを職種別で行った例です。
「採用管理テンプレート」では上図のファネルを自動で可視化できるシートを用意しております。
可視化出来たら、ボトルネックの特定を
可視化が出来たら、ボトルネックの特定を行います。ボトルネックの特定は以下の順番で進めましょう。
(1)応募数が足りているか確認
・職種ごとに必要な応募数に対する過不足を確認
・経路毎に集計し、どの経路に伸びしろがあるか特定
(2)ファネルの中のどの歩留まりが悪いか確認
・応募通過率・選考通過率・内定受託率の数字のうち、どこの歩留まりが悪いかを特定
(3)効率の悪い無駄な経路がないか確認
・応募数・ファネルの歩留まりが著しく低い経路を特定
ボトルネックを特定することで、他の部分に余分なリソースを費やすこともなく効率よく改善のアクションを実行できます。
ボトルネックに合わせて改善のためのアクションを決定
ボトルネックが特定できたら、その原因仮説を立て、改善アクションを決定していきます。下図のようにボトルネック・原因仮説・アクションを整理すると良いでしょう。
量⇒質の順番で
また改善の優先順位付けは必ず量→質の順番に行いましょう。
どれだけ各フェーズでの歩留まりが高くても、数が少なければ成果は見込めません。まずは大元の数を増やす施策から実践しましょう。量に関する改善を優先して進めた後に、各フェーズでの歩留まり改善の施策に着手する順序が良いでしょう。
これら一連の改善のための行動は、モデルによる可視化がなければ、目的が曖昧な状態で闇雲に施策を実施することになってしまいます。
単純なモデルではありますが、ボトルネックの特定を容易にし、どこに注力すべきかをはっきりさせてくれるのがデータ活用の威力と言えます。
まとめ
ここまで3つの採用データ活用パターンを紹介してきましたが、いずれも実行するのは然程難しくない一方、効果は抜群です。着手しやすく失敗しない基本パターンといえます。
【3つの採用データ活用パターンおさらい】
①採用リードタイムを正確に把握することで、適切な採用計画を作成できるように
②対象の関心ごとに合わせたデータを可視化することで、関係者を巻き込んだ採用が実現
③ファネルの基本モデルに沿ってデータを可視化することでボトルネックの特定が容易になり、次のアクションを絞り込めるように
最初は億劫に感じるかもしれませんが、一度定着すれば、採用活動に問題が生じた際に立ち返る場所となり、より良い採用活動が出来るようになるはずです。
ぜひ、明日からの採用活動にデータ活用を取り入れてみてください。
採用管理と可視化が簡単に出来るExcelテンプレートを公開中
採用データ活動の有効性をわかっていても、実際にスプレッドシートやExcelなどで可視化しようとすると、意外と難しいと感じる方も多いと思います。
そのような方のために、HERPでは無料で使えるExcel採用管理テンプレートを配布しております。
必要な候補者情報を入力するだけで、本記事で示したようなデータの可視化が簡単にできるようになっています。
本テンプレートで可視化できる内容のご紹介(一部)
①職種別採用状況
職種別に採用・選考状況を確認できるシートです。
②職種別ファネル
職種別に各ステップの通過状況・歩留まりを確認できます。
③経路別採用状況
経路別に、応募~内定までの歩留まりを確認できます。